本記事では、専用サーバーの概要やメリット・デメリット、共用サーバーとの違いなどを解説します。
専用サーバーを導入すれば、高いカスタマイズ性や高スペックの環境下でWebサイトを運用できます。
しかし、共用サーバーより初期費用やランニングコストが高額で、サーバー管理やネットワーク設定の専門性も必要など、複数のデメリットがあることも事実です。
専用サーバーの特徴やメリット・デメリットを確認し、導入すべきかどうかを適切に判断しましょう。
目次
専用サーバーとは?
専用サーバーとは、ユーザーが一つのサーバーを独占して利用できるホスティングサービスです。
大容量のメモリやストレージ容量を自由に活用でき、OSやソフトウェアも柔軟にカスタマイズできます。
また、他の利用者の影響を受けない点も特徴で、安定したWebサイト運用が可能です。
ただし、サーバーの管理や運用は、基本的に自分自身で行う必要があります。
大規模サイトの運営やセキュリティの強化などを目的として利用するのが一般的です。
一方で、複数のユーザーが一つのサーバーを共有利用する形態を「共用サーバー」と呼びます。
共用サーバーは、他ユーザーとサーバーを共同で利用する分、カスタマイズ性やスペックに制限が設けられています。
しかし、専用サーバーと比較して、コストを抑えられます。
他の利用者は存在せず、間取りも自由に変更できます。
共用サーバーはアパートの一室を借りて住むことに例えられます。
建物や設備は他の住人と共用ですが、その分家賃を抑えられる点が魅力です。
マネージド専用サーバーとは?
専用サーバーの一種として「マネージド専用サーバー」があります。
マネージド専用サーバーとは、ホスティングサービス事業者が運用や管理を請け負う専用サーバーです。
家に例えると、一軒家を賃貸し、管理会社に維持や整備を任せるようなイメージです。
一般的な専用サーバーは、サービス利用者が運用や管理作業を行うので、サーバー関連の専門スキルのある人材が必要で、作業に係る労力も発生します。
しかし、マネージド専用サーバーであれば、サーバー管理やネットワーク設定などの専門的な知識がなくても専用サーバーを運用でき、運用や管理の労力も削減できます。
なお、マネージド専用サーバーの提供の有無やサービス内容は、各ホスティングサービスで異なることに留意してください。
【比較表】専用サーバーと共用サーバーの違い
専用サーバーと共用サーバーの違いは、大きく以下の通りです。
専用サーバー | 共用サーバー | |
---|---|---|
特徴 | ユーザーが一つのサーバーを独占 | 複数人で一つのサーバーを共有 |
ストレージ量 | 大容量 | 限定的 ※プランによって異なる |
カスタマイズ性 | 〇 ※自由に設定可能 | △ ※レンタルサーバーの仕様に依存 |
利用開始までの期間 | △ ※数週間から一ヶ月程度かかることがある | 〇 ※契約後すぐに利用の開始が可能 |
コスト | △ ※共用サーバーより高額 | 〇 ※比較的安価(詳細はプランによって異なる) |
他の利用者の 影響 | 〇 ※受けない(他の利用者がいない) | △ ※他の利用者の影響を受ける |
サーバー構築・維持管理 | △ ※必要(マネージド専用サーバーなら不要) | 〇 ※不要(ホスティングサービスが実施) |
拡張性 | 〇 ※自由にリソースを変更可能 | △ ※プラン変更が必要 |
専用サーバーの3つのメリット
専用サーバーは共用サーバーと比較して、以下のようなメリットを有しています。
- カスタマイズ性が高い
- 高スペックな傾向
- 他のユーザーの影響を受けにくい
それぞれを詳しく解説します。
カスタマイズ性が高い
専用サーバーは、サーバーのroot権限を持つことができ、共用サーバーと比較して高いカスタマイズ性を誇ります。
具体的には、専用サーバーは以下のように活用できます。
- OSやソフトウェアを自由に設定
- メモリやストレージを自由に拡張可能
- 複数のIPアドレスの取得やVPN設定*などが可能
* VPN設定は、仮想の専用回線をインターネット上に設定し、セキュリティを強化する技術です。
目的や規模に合わせて最適化でき、急激にアクセスが増加しても安定したサーバー運営を実現します。
しかし、共用サーバーでは、上記の要素はレンタルサーバーの仕様に依存します。
メモリやストレージの拡張を行う際は、プランの変更が必要になってきます。
高スペックな傾向
専用サーバーは、共用サーバーよりも高スペックな構成に対応できます。
大容量なメモリやストレージの搭載や、高性能なCPUの選択などが可能です。
- ストレージ(ディスクスペース):データを保存する場所や保存できる量
- メモリ:一時的にデータを保存しておく領域。容量が多いほど処理能力が向上
- CPU:情報の処理を行う領域。性能が高いほど処理能力が向上
- ネットワーク帯域:大きいほど高速に大容量のデータを送受信できる
大規模なWebサイトの運用や、動画配信サービス、データ分析などのサーバーに負荷がかかる処理に適しています。
一方で、共用サーバーは複数のユーザーでリソースを共有するため、拡張性に乏しく、スペックには限界があります。
共用サーバーでも高スペックなプランは提供されていますが、あくまでも決められた仕様の範囲内でしか利用できません。
他のユーザーの影響を受けにくい
他のユーザーの影響を受けにくい点も専用サーバーの魅力です。
例えば、サーバーを共有して利用する共用サーバーの場合、自社以外のWebサイトにアクセスが集中すると、サーバー本体に負荷がかります。
サーバーに負荷がかかると、自社サイトの表示速度の低下や、最悪サーバーダウンなどが起こり得ます。
自社に過失がなくても、これらの不具合により、ユーザーの信頼を損なってしまうので要注意です。
一方で、データの保存領域となるディスクスペースやネット回線を独占できる専用サーバーであれば、他社の影響を受けません。
安定してWebサイトを運営でき、機会損失の防止やユーザーからの信頼の獲得を実現できるでしょう。
専用サーバーの3つのデメリット
一方で専用サーバーは、共用サーバーと比較して以下のデメリットがあります。
- 導入コスト・運用コストが高額
- 利用開始まで時間がかかる
- 設定・管理を自分で行う必要がある
各デメリットを詳しく解説します。
導入コスト・運用コストが高額
専用サーバーは、共用サーバーと比較して導入コストや運用コストが高額です。
初期費用は数万円から数十万円ほどかかり、月額費用も数万円から数十万円が相場です。
一例として、大手ホスティングサービス「さくらインターネット」の専用サーバーの料金を紹介します。
- 月額料金:35,200円~
- 初期費用:297,000円~
※さくらの専用サーバ PHY 8コアモデルの例
その点、共用サーバーであれば初期費用が無料のサービスが多く、月額料金も数百円から数千円程度が一般的です。
専用サーバー導入の検討時は、高額な費用に見合うかどうかを考慮しましょう。
利用開始まで時間がかかる
専用サーバーは、契約後にサーバーの設置や構築を行わなければならず、すぐに利用を開始できるわけではありません。
利用開始まで、数週間から1ヶ月程度はかかるケースもあります。
一方、共用サーバーであれば、契約から1〜2時間程度で運用を開始できます。
専用サーバーの導入時は、スケジュールから逆算して余裕を持って申込むことが大切です。
設定・管理を自分で行う必要がある
専用サーバーの設定や管理は、基本的に自分自身で行う必要があります。
サーバーエンジニアや管理の専門スタッフが在籍しない場合、運用や管理面で躓いてしまいます。
しかし、共用サーバーであれば、ホスティングサービス側が運用や管理を行うため、これは専用サーバーのデメリットといえるでしょう。
ただし、マネージド専用サーバーを契約すれば、専門性の高いスタッフがいなくても、専用サーバーを運用できます。
専用サーバーが向いている人・向いていない人
専用サーバーにはメリット・デメリットがあり、「専用サーバーは自社に向いているか」を適切に判断する必要があります。
ここでは、専用サーバーが向いている人・向いていない人の特徴を解説します。
専用サーバーが向いている人・企業の特徴
以下のような方は、専用サーバーの導入が向いています。
- 大規模なWebサイトを運営したい
- 専用のメールサーバーやファイルサーバーとして利用したい
- 万全なセキュリティ対策を施したい
- 共用サーバーに対応していないCMSやツールを活用したい など
大規模なWebサイトは、アップロードするデータ容量が大きく、アクセス数も多い傾向にあります。
また、Webサイトの遅延やサーバーダウン、セキュリティトラブル発生時の被害も大きいので、スペックを柔軟に変更でき、セキュリティや安定性を強化できる専用サーバーが適しています。
さらに、専用サーバーはroot権限を持てるため、共用サーバーでは非対応のCMSやツールを自由に設定可能です。
有名ではないCMSやツールを用いてWebサイトを運営する場合も、専用サーバーが適しているでしょう。
専用サーバーが向いていない人・企業の特徴
一方で以下のような方は、専用サーバーは向いていません。
- 個人ブログを運営したい
- 小規模なホームページを制作したい
アクセス数が少なく、アップデートのデータ容量も少ない小・中規模サイトには、共用サーバーのスペックでも十分でしょう。
むしろ、専用サーバーだとオーバースペックとなり、高額なコストに対する効果を十分に得られないでしょう。
一方で共用サーバーなら、コストを抑えて利用でき、サーバーの運用・管理の手間もかかりません。
スペックが不足したらプランのアップグレードも可能なので、小・中規模サイトの運営では共用サーバーをおすすめします。
そして、コストパフォーマンスに優れた共用サーバーをお探しの方には、弊社カラフルボックスがおすすめです。
カラフルボックスは、ページを高速表示できるWebサーバー「LiteSpeed」を搭載しています。
さらに、サイト規模やスペックに応じた8種類のプランを提供しており、即時アップグレードにも対応してます。
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専用サーバーの選び方のポイント5選
一言で専用サーバーといっても多岐にわたります。
専用サーバーを選ぶ際は、以下の5つのポイントに着目しましょう。
- 初期費用・運用コスト
- サーバーのスペック
- セキュリティ対策
- 管理方法
- 業者の実績・信頼性
各要素を詳しく解説します。
初期費用・運用コスト
専用サーバーの選択時は、各サービスの初期費用や月額費用を確認しましょう。
専用サーバーの費用相場は以下の通りです。
- 初期費用:数万円~数十万円
- 月額料金:数万円~十数万円
価格設定はサービスによって大きく異なり、なかには初期費用無料や月額1万円未満といったプランを提供しているホスティングサービスもあります。
ただし、専用サーバーの安さばかりに着目した結果、スペックが不足していたら本末転倒です。
まずは必要なスペックやサービスを明確にし、ニーズに適した複数サービスの価格を比較しましょう。
サーバーのスペック
専用サーバーを比較する際は、以下のようなスペックにも着目しましょう。
- ストレージ:データを保存する場所・保存できる容量
→ ストレージの容量が大きいほど、より多くの情報をサーバーに保存できます。 - メモリ:一時的にデータを保存しておく領域
→ メモリの容量が大きいほど、一時的にデータを保存できる量が増え、一度に多くの情報やアクセスを処理できます。 - CPU:情報の処理を行う領域
→ CPUの性能が高いほど、サーバーの処理速度が高く、Webサイトの表示速度アップなどを実現できます。 - ネットワーク帯域:サーバーが一定時間内に送受信できるデータの容量
→ ネットワーク帯域が大きいほど、高速に大容量のデータを送受信できます。
ただし、高スペックなサーバーは料金も高額であり、過剰に高スペックすぎると費用対効果が低下してしまいます。
必要なスペックを明確にしたうえで、ニーズを満たすホスティングサービスやプランを選択しましょう。
セキュリティ対策
各サービスで提供されているセキュリティ対策が異なります。
セキュリティ対策の例をいくつか紹介します。
SSL | 通信を暗号化してデータの送受信を行い、第三者による不正な盗聴を防ぐ仕組み |
---|---|
VPN | 外部から見えない通信経路を構築し、データを暗号化する仕組み |
ファイアーウォール | 外部からの不正アクセスやサイバー攻撃からネットワークを守るツール |
WAF | 外部からのサイバー攻撃からWebアプリケーションを保護するツール |
IDS/IPS | 外部からの不正侵入を検知し、防止する仕組み |
DDoS対策 | 複数のIPアドレスからの大量アクセスによるサイバー攻撃(DDoS攻撃)を防御 |
他にも、24時間監視体制や独自のセキュリティ対策を設けているサービスも多いです。
セキュリティ対策が充実していれば、万が一の事態にも備えられ、安心してWebサイトの運営が可能でしょう。
管理方法
通常、専用サーバーは運用や管理を自分自身で行う必要があります。
一方で、マネージド専用サーバーであれば、ホスティングサービス会社側がサーバーの運用や管理を代行します。
組織内にサーバー管理についての専門スタッフがいなかったり、運用・管理にかかる手間や経費を削減したい場合は、マネージド専用サーバーがおすすめです。
ただし、マネージド専用サーバーには、通常root権限が与えられません。
高度なカスタマイズが制限されるなど、将来的にサーバーの乗り換えが難しくなるリスクも生じます。
デメリットを考慮したうえで管理方法を選択しましょう。
業者の実績・信頼性
専用サーバーを選択する際は、ホスティングサービス事業者の実績や信頼性を確認しましょう。
実績が豊富な専用サーバーでは、サービスの安定性やサポート体制が信頼できます。
また、ユーザー側も安心してサービスの利用が可能です。
しかし、実績が少ない業者の場合、サービスの運営期間が短い、もしくはユーザー数が少ないなどが考えられます。
断言できませんが、実績が豊富な事業者よりもサーバーの安定性やサービスの充実度で劣る可能性があります。
公式サイトはもちろん、SNSや口コミサイトを利用して、業者の実績や信頼性を確認しましょう。
おすすめの専用サーバー3選
専用サーバーを提供しているおすすめのホスティングサービスは、以下の3つです。
- GMOクラウド 専用サーバー
- さくらの専用サーバ PHY
- XServerビジネス 専用サーバー
それぞれの特徴を解説します。
また、おすすめの専用サーバーについては「専用サーバーおすすめ7選を徹底比較|特徴や選び方を初心者向けに解説【法人&大規模サイト】」で詳しく解説しています。
より多くの選択肢から専用サーバーを選びたい方は、ぜひご覧ください。
GMOクラウド 専用サーバー
GMOクラウドの専用サーバーは月額9,219円~と、比較的安価な料金で専用サーバーを運用できます。
1999年からホスティングサービスの提供実績があり、休日を含む24時間サポート・監視サービスも行っております。
さらに、設定代行やバックアップオプションなど、専門的な知識がない方でも安心して専用サーバーを運用できる各種機能も充実しています。
初期費用0円コースも提供されており、初期コストを抑えて専用サーバーを導入したい方にもおすすめです。
さくらの専用サーバ PHY
さくらの専用サーバ PHYは、大手ホスティングサービス事業者「さくらインターネット株式会社」が提供する専用サーバーです。
サーバーやオプション、アプライアンスの購入・設定、障害情報の表示といったあらゆる機能を管理できるコントロールパネルを搭載しています。
そして、1台のサーバーに複数のネットワークを接続でき、オンプレミス(自社運用)と同様に複雑なネットワーク構築が可能です。
オンプレミスからの切り替え先としてもおすすめです。
XServerビジネス 専用サーバー
XServerビジネスの専用サーバーは、仮想タイプと物理タイプから選択可能です。
- 仮想タイプ:仮想化技術によってサーバーをユーザーごとに割り当てたタイプ
- 物理タイプ:ユーザーが一つのサーバーを物理的に独占できるタイプ
仮想タイプはVPS(仮想専用サーバー)と呼ばれ、物理サーバーよりも安価に利用できます。
本記事で紹介した「専用サーバー」は、物理タイプが該当します。
各タイプに3つのプランが提供されており、目的や用途に合わせて柔軟にサーバーやプランの選択が可能です。
また、独自SSLやWordPress自動インストールなどのサポート体制も充実しています。
専用サーバーに関するよくある質問

ここでは、専用サーバーに関するよくある質問にご回答します。
専用サーバーとVPS(仮想専用サーバー)の違いは?
VPS(仮想専用サーバー)とは、一台のサーバーに複数台の仮想サーバーを構築し、各ユーザーが専用サーバーのように利用できるサービスです。
物理的に一つのサーバーを独占できるわけではありませんが、リソースは独立しており、高度なカスタマイズも可能です。
さらに、専用サーバーに比べ安価な点も魅力です。
しかし、専用サーバーとは異なり、他のユーザーの影響を完全には排除できません。
専用サーバーとクラウドサーバーの違いは?
クラウドサーバーとは、物理サーバーを仮想化して構築されたリソースを利用する仕組みです。
VPSとの違いは、アクセスが集中した際に必要に応じてスペックを自由に拡張できる点にあります。
そのため、より大規模なサイト運営に適しています。
専用サーバーはレンタルサーバーの一種?
レンタルサーバーとは、ホスティングサービス事業者からサーバーをレンタルするサービスです。
専用サーバーも、ホスティングサービスが提供しているサーバーを借りているため、レンタルサーバーの一種といえます。
なお、サーバーをレンタルせず、自社内に設置する形態を「オンプレミスサーバー」といいます。
専用サーバーの料金相場は?
専用サーバーの料金相場は以下の通りです。
- 初期費用:数万円~数十万円
- 月額料金:数万円~十数万円
ただし、詳細な料金は各事業者により異なり、初期費用無料プランや月額1万円未満のプランが提供されている場合もあります。
目的や用途によって費用相場は異なるため、まずは必要なスペックを明確にしたうえで、各サービスを比較・検討するようにしましょう。
まとめ
本記事では、専用サーバーの概要やメリット・デメリット、選ぶ際のポイント、共用サーバーとの違いなどを解説しました。
専用サーバーは、大規模なWebサイトに適したサービスであり、サイトの安定性の向上やセキュリティ強化などを実現できます。
しかし、個人サイトや小規模サイトには、オーバースペックになりやすく、十分な費用対効果を得られないので要注意です。
一言で専用サーバーといっても、さまざまなサービスが提供されています。
目的や用途を明確にし、選び方のポイントを押さえたうえで、適切なサービスを選択しましょう。
