ビジネスにAIを導入することで、生産性の向上やコスト削減、人材不足の解消などが実現します。
しかし、AIの導入は一定のコストを要する点が課題です。
そこで、補助金制度を利用すれば、経済的な負担を抑えてのAI導入が可能です。
現在は、経済産業省など複数の公的機関がChatGPTを含むAIの活用で利用できる補助金制度を実施しているため、要件や補助金額を確認しましょう。
本記事では、AIの導入・活用で利用できる補助金制度や採択率を向上させるコツなどを解説しているので、ぜひご覧ください。
目次
AIの導入・活用に関する補助金とは
補助金とは、国や自治体の政策目標に合わせて、事業者の活動に必要な資金の一部を支援する制度です。
各制度で補助対象の経費や金額が定められています。
ただし、申請すればすべての事業者が資金を調達できるわけではありません。
補助金申請後は各公的機関で審査が行われ、通過した事業者のみが支援を受けることができます。
補助金は原則として後払いであり、事業や活動を行って必要書類を提出した後に、資金の一部を受け取れる仕組みです。
中小企業基盤整備機構の調査によれば、約67%の企業がITの活用を実施中、もしくは検討中と回答しています。
しかし、約71%がIT活用に課題があると回答し、その中の約67%が「コストの負担が大きい」と感じています。
AIの導入・活用には一定のコストが発生するので、自己資金だけでなく補助金等を有効活用して経済的な負担を抑えることが重要となるでしょう。
AIの導入・活用で利用できる補助金4選
AIの導入・活用で利用できる補助金や融資には、以下のような制度があります。
- AI導入補助金
- ものづくり補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- AI活用融資
それぞれの対象者や金額などを詳しく解説します。
IT導入補助金
「IT導入補助金」とは、事業のデジタル化を目的にソフトウェアやシステムを導入する中小企業や小規模事業者が活用できる補助金制度です。
以下の複数の枠が提供されています。
- 通常枠
- インボイス枠(インボイス対応類型)
- インボイス枠(電子取引類型)
- セキュリティ対策推進枠
- 複数社連携IT導入枠
通常枠を例に挙げると、ソフトウェア購入費やクラウド利用料などが補助対象で、最大450万円(補助率1/2以内)の支援を受けられます。
補助金額は、申請するソフトウェアが保有している業務プロセス数に応じて2段階に分けられているので、事前に公式サイトで要件を確認しましょう。
申請には、公募要領などを確認したうえで、gBizIDプライムアカウントの取得やSECURITY ACTION宣言の実施が必要です。
その後「みらデジ」で取り組むべき経営課題を把握し、ITツールの選定・交付申請を行います。
対象者 | 事業のデジタル化を目的に、ソフトウェアやシステムを導入する中小企業・小規模事業者 |
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補助金額 | 1プロセス以上:5万円以上150万円未満 4プロセス以上:150万円以上450万円以下満 (プロセス:申請するソフトウェアが保有している業務プロセス数) |
補助率 | 1/2以内 |
実施機関 | 中小企業庁満 TOPPAN株式会社 |
※通常枠の例
ものづくり補助金
「ものづくり補助金」は、生産性向上や革新的な製品の開発などに向けて設備投資を行う中小企業・小規模事業者が対象の補助金制度です。
基本要件として、以下の3つを満たす3〜5年の事業計画を策定することが求められています。
- 事業者全体の付加価値額を年平均成長率3%以上増加
- 給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加
- 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
以下の4つの申請枠があり、省力化(オーダーメイド)枠なら最大8,000万円の資金を調達可能です。
- 省力化(オーダーメイド)枠
- 製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)
- 製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型)
- グローバル枠
申請にはgBizIDプライムアカウントを取得したうえで、書面審査と口頭審査を通過する必要があります。
また、申請要件が未達の場合の返還規程が定められているので、入念な事業計画書の作成と実現が求められます。
対象者 | 生産性向上や革新的な製品の開発などに向けて、設備投資を行う中小企業・小規模事業者 |
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補助金額 | 750~8,000万円 ※補助事業終了後に3~5年で大幅に賃上げを行う事業者は100~2,000万円を上乗せ |
補助割合 | 中小企業:1/2 小規模事業者等:2/3 ※1,500万円を超える部分は1/3 |
実施機関 | 中小企業庁 全国中小企業団体中央会 |
※省力化(オーダーメイド)枠の例
小規模事業者持続化補助金
「小規模事業者持続化補助金」とは、販路開拓や生産性向上の取り組みを行う小規模事業者を対象とした補助金制度です。
以下の4つの類型があり、最大200万円(通常枠では最大50万円)の資金を調達できます。
- 通常枠
- 賃金引上げ枠
- 卒業枠
- 後継者支援枠
- 創業枠
申請手続きは、申請書や事業計画、貸借対照表、損益計算書などを申請期限内に準備・提出します。
対象者 | 販路開拓や生産性向上の取り組みを行う小規模事業者 |
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補助金額・割合 | 50万円 |
申請方法 | 2/3 |
実施機関 | 全国商工会連合会 |
※通常枠の例
AI活用融資
「AI活用融資(PDF)」とは、AI設備を導入し、生産性の向上を図る中小企業を対象とした融資制度です。
融資制度なので、補助金制度とは異なり、資金の返済義務がある点に留意してください。
中小企業事業であれば最大7.2億円を資金調達でき、基準利率から最大0.65%が優遇されたうえで返済計画を立てられます。
制度の活用時は、経済産業省認定の支援機関である「スマートSMEサポーター」から助言・指導を受ける必要があります。
対象者 | 以下の要件を満たしている中小企業 ・AI設備を導入し生産性の向上を図る ・AIの導入に際して専門家(スマートSMEサポーター)の助言・指導を受けている |
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補助金額 | 中小企業事業:7.2億円 国民生活事業:7,200万円 |
貸付期間 | 20年以内(運転資金は7年以内) |
実施機関 | 日本政策金融公庫 |
各自治体の補助金制度も確認
前述では、国の公的機関が提供している補助金・融資制度を紹介しましたが、各都道府県や市区町村でも補助金制度を実施している場合があります。
- 医療機関におけるAI技術活用促進事業(東京都)
- AI活用人材等育成支援補助金(京都府)
- 宮城県ものづくり中核企業AI・IoT先進技術導入補助金(宮城県)
- AI特殊詐欺対策機器導入補助金(金沢市) など
企業の所在地によっては、より幅広い選択肢から補助金制度を活用できたりもします。
都道府県や自治体のホームページを確認してみましょう。
補助金の採択率を向上させる3つのコツ
各種補助金制度では公的機関の審査が実施されるので、必ずしも資金調達に成功するとは限りません。
採択率を少しでも上げるためにも、以下の3つのポイントを押さえて申請手続きを行いましょう。
- 採択事例の確認
- 提出書類を不備なく準備・記載
- 専門家の支援を受ける
各要素を詳しく解説します。
採択事例の確認
補助金の申請時は、過去の採択事例を確認しましょう。
各補助金制度では、過去の採択者の名称や事業名などが掲載されています。
採択者のホームページなどで、企業の詳細や取り組みを確認すると、採択されている事業の傾向をつかめます。
詳細な事業内容を把握すれば、事業計画を作成する際の参考にもなるでしょう。
提出書類を不備なく準備・記載
前提の話になりますが、各補助金制度の提出書類を不備なく準備・記載しましょう。
補助金の申請では、申請書や事業計画書、決算書など多くの書類の準備が必要です。
書類に不足や不備があると、申請が無効になったり、再提出の手間がかかったりするので要注意です。
また、各補助金制度には受付期間が定められており、申請期限をすぎると受付けてもらえないので、必ず公募要項を確認してください。
専門家の支援を受ける
中小企業診断士やITコンサルタント、補助金申請サポートサービスなどの支援を受けることで、採択されやすい事業計画を作成できます。
また、書類の記載内容の不備も防止できます。
特に、AIや補助金について専門的な知識をもつ人材がいない場合は、専門家への相談を積極的に検討しましょう。
AIの導入・活用に関するよくある質問
ここでは、AIの導入・活用についてのよくある質問に回答します。
- AI関連の補助金はどのような事業者が活用できる?
- 補助金が支払われるタイミングは?
- 資金調達は必ず成功する?
- 補助金の申請のプロセスは?
- AI関連の補助金の情報収集はどうやる?
- ソフトバンクやKDDIが受けた補助金は何?
AI関連の補助金はどのような事業者が活用できる?
AI関連の補助金は、一般的に「事業の効率化や販路開拓で設備・システム投資などを行う中小企業」などが対象となっています。
また、事業計画の提出や採択審査もあり、実質的には「資金を提供する価値のある現実的な事業計画を有している企業」であることが求められます。
ただし、AIの導入や活用に関する補助金は、各制度で対象者が厳密に定められています。
詳しくは、各補助金制度の公募要項を確認し、企業の課題や実情にマッチしているかを判断しましょう。
補助金が支払われるタイミングは?
補助金が支払われるタイミングは、原則として企業が事業や活動を行った後です。
申請が採択された後、企業は事業計画通りに活動し、補助金の請求を行います。
そして、制度運営者が支払いの基準を満たしていると判断したら、事業者に補助金を支払います。
この特性から、補助金による資金調達は、全額立替払いが前提です。
立替払いの余力がない場合、補助金ではなく融資制度などが有力な選択肢となります。
資金調達は必ず成功する?
補助金を受け取るには、各公的機関による審査に通過する必要があり、必ず資金調達できるわけではありません。
中には補助金を申請しても採択されず、資金調達できない事例も存在します。
採択率を上げるには、過去の採択事例の確認や専門家への相談を行ったうえで、実現性や見込みのある事業計画を作成することがポイントです。
まずは「どのような事業が実際に採択されているか」を確認しましょう。
補助金の申請のプロセスは?
補助金の申請から資金提供までのプロセスは、大きく以下の通りです。
- 公募要項の確認
- 必要書類の準備
- 期限内の申請
- 公的機関側の審査
- 採択結果の通知
- 事業の実施
- 実績報告書の提出
- 補助金の振込み
ただし、厳密な流れは各補助金制度によって異なります。
まずは公募要項を確認して、申請や支払いのプロセスを確認しましょう。
AI関連の補助金の情報収集はどうやる?
各官公庁や地方自治体では、AIを含む支援事業の情報を取りまとめているページがあります。
- 補助金等公募案内(中小企業庁)
- ミラサポplus 補助金・助成金 中小企業支援サイト(経済産業省)
- J-Net21(中小企業基盤整備機構)
- 各都道府県・市区町村のホームページ など
また、補助金申請のサポートや情報提供をしている民間サイトも参考になります。
「事業再構築補助金」のように、特定の状況下でのみ申請できる補助金制度もあるので、小まめに情報収集しましょう。
ソフトバンクやKDDIが受けた補助金は何?
ソフトバンクは経済産業省からの認定を受け、2024年から2025年にかけて、最大421億円の助成を受ける見込みです。
これは、AI計算基盤の拡張を目的としたスーパーコンピューター整備に向けた約1,500億円の設備投資に対する助成です。
また、KDDIを含む5社を対象として、AI向けスーパーコンピューター整備に最大725億円の補助を行う旨の発表もありました。
このように、AI環境の整備は政府にとっても重要な施策と考えられています。
企業の競争力を高めるためにも、補助金制度などを有効活用して積極的にAI環境を整備すべきといえるでしょう。
・AIスパコンに725億円補助 経産省発表、KDDIやGMO向け – 日本経済新聞
AIを導入・活用する6つのメリット
事業でAIを導入・活用すると、以下のようなメリットが生じます。
- 人手不足を解消できる
- コストを削減できる
- 生産性が向上
- 膨大なデータを分析できる
- 顧客満足度がアップ
- 新たなアイデアを創出できる
ここでは、各メリットを詳しく解説します。
人手不足を解消できる
事業にAIを導入・活用すると、人手不足の解消が見込めます。
繰り返し行う定型業務を含む、以下のような仕事をAIに任せられます。
- データ入力
- スケジュール管理
- 資料作成
- 在庫管理
- 予約管理
- 問い合わせ対応 など
現在、これらの仕事を人間が行っている場合、AIの導入によって人的リソースに余裕が生まれるでしょう。
AIに代替できない重要な業務に人的資源を投入できるようになるはずです。
また、体調やモチベーションにかかわらず、常に一定のパフォーマンスを発揮するのAIの利点です。
AIの導入を検討する際は「AIに代替できる業務はないか」に着目しましょう。
生産性が向上
AIの導入により生産性の向上が可能です。
先述した通り、AIを導入し、定型業務などを任せることができると、より重要度の高い業務に人的リソースを注げます。
AIによる画像・文章生成やデータ分析を活用すれば、アウトプットのスピードを上げ、ヒューマンエラーも削減できます。
さらに、業務の標準化が実現し、AIのサポートを受ければ経験の浅い従業員でも業務効率を向上させられます。
その結果、企業の利益の底上げや新たな事業へ進出する余力が生まれるでしょう。
コストを削減できる
AIの導入によって、以下のような人件費を削減できます。
- 新規採用に伴う従業員の給与
- 低い生産性によって生じる残業代
- 画像作成やデザインなどの外注費
人件費は事業運営において大きな割合を占めます。
生産性や仕事のクオリティを維持しつつ人件費を削減すれば、利益率が高まり、余剰資金が生じます。
それを事業の多角化や従業員の給与アップ、企業の財務健全性の最適化などに利用できるでしょう。
膨大なデータを分析できる
AIは膨大なデータ分析が得意です。
人間では多大な労力を要するデータ分析をAIに任せるのは、以下のようなメリットあります。
- 的確なマーケティング戦略を立案できる
- 顧客のニーズや嗜好に合わせた商品・サービスを開発できる
- 起こり得るリスクを事前に発見できる など
データ分析をAIに任せることでヒューマンエラーが減少し、従来よりも高頻度で事業やデータを分析できるようになります。
つまり、正確、かつ最新のデータを踏まえて経営の意思決定ができるようになります。
顧客満足度が向上
先述した通り、AIの導入によって顧客のニーズや嗜好に合わせて商品・サービスを提供できるようになります。
AIチャットボットを導入すれば、営業時間にかかわらず24時間365日顧客対応が可能となります。
AIチャットボットによる顧客対応はサービスの品質が一貫しており、多言語にも対応できて、顧客満足度の向上が期待できるはずです。
さらに、音声認識や感情分析技術を用いれば、より顧客の状況に沿った対応ができるようになるでしょう。
新たなアイデアを創出できる
AIは過去の膨大なデータに基づいて、固定概念に囚われないアイデアを提案します。
人間とは異なり、一瞬で多彩なパターンのアイデアを考案できるのがAIの魅力です。
AIが提案した膨大なアイデアを人間の目で取捨選択や改善を行えば、効率的に以下のような業務が実現するでしょう。
- 新規ビジネスの考案
- 革新的な商品の創出
- 斬新なデザインの決定 など
AIを導入・活用する6つの注意点
さまざまなメリットがあるAI活用ですが、以下のような注意点もあります。
- 情報漏洩のリスク
- 権利侵害のリスク
- 誤った情報が生成されてしまう
- 倫理的に不適切な情報が生成されてしまう
- AIについて専門性の高い人材が必要
- 一時的にコストが増加する
各要素を詳しく解説します。
情報漏洩のリスク
ユーザーがAIに入力したデータは、基本的にクラウド上に保存されます。
AIシステムに脆弱性があると、意図せずに情報が外部に流出したり、ハッキングなどの被害に遭う可能性があります。
AIを事業に導入する際は、以下のようなリスク管理対策を施すことが重要です。
- データの匿名化
- データの暗号化
- アクセス制御
- AIシステムのモニタリング
- 従業員のリテラシーの向上
権利侵害のリスク
AIは過去のデータを学習して新たなコンテンツを生成するので、権利侵害のリスクが生じます。
特に「他人に創造物を無断利用されない権利」である「著作権」侵害の恐れがあり、注意が必要です。
AIで生成されたコンテンツを事業に使用する場合「類似性」と「依拠性」が認められると著作権侵害となります。
- 類似性:表現上の本質的な特徴を、直接感得できるか否か
- 依拠性:類似性が認められるものを自己の作品の中に用いているか
著作権侵害にあたらない場合も、倫理的な側面からトラブルに発展する場合があります。
ChatGPTを含む生成AIの活用時は、他社の権利を侵害していないかを必ず確認しましょう。
誤った情報が生成されてしまう
AIで生成された情報は、必ずしも正確とは限りません。
AIの学習データが最新とは限らず、複雑な指示は誤った解釈をするためです。
特に、情報の最新性を求めたり、粒度の細かいデータを用いる場合は、誤った情報が生成されるケースが多いです。
また、分析ツールや音声認識ツールといった生成AIでないAIツールを用いる場合も、制御ミスや見当違いの行動に繋がるリスクがあります。
AIを過信しすぎず、人間によるファクトチェックや入念なテストを実施することが重要です。
倫理的に不適切な情報が生成されてしまう
AIの学習データが不足していたり、偏りがあると、倫理的に不適切な情報が生成される危険性があります。
- 人種差別的な内容
- 性意識に対する差別
- 暴力的なコンテンツ
- プライバシーを侵害しているコンテンツ
- 科学的根拠がない医療情報 など
この側面からも、人間による最終確認を行ったうえで事業に活用することが重要となります。
AIについて専門性の高い人材が必要
AIの導入・活用では、専門性の高いAI人材が必要です。
AI人材がいないと、AIの導入に難航したりセキュリティ面のリスクヘッジ対策がたてられないため注意が必要です。
しかし、現在はAI人材の需要が拡大しており、すぐに希望にマッチした人材を雇用できるとは限りません。
そのため、人材育成が必要となる可能性が高いです。
早急にAI人材を確保したい場合、AIの導入・運用のサポートを受けられる以下のようなサービスの活用もも検討しましょう。
- SES(システムエンジニアリングサービス)
- AI開発および運用を受託する企業
一時的にコストが増加する
AIの導入によって人件費削減が可能ですが、導入時の初期費用は発生します。
導入するAIによっては莫大な開発費がかかったり、入念な事業計画が必須です。
また、一時的な支出によって資金繰りを圧迫しないよう、補助金や助成金も積極的に活用しましょう。
AIの導入・活用を成功させるための6つのポイント
AIの導入・活用では、以下の6つのポイントを押さえましょう。
- リスク管理の徹底
- 最適なAIツールを選定
- 最新動向を踏まえて戦略を策定
- 従業員のAIリテラシーを向上させる
- マニュアルや利用規則を策定
- 定期的に効果測定を行う
それぞれを詳しく解説します。
リスク管理の徹底
AIの導入によって、情報漏洩を含むセキュリティ面のリスクが発生します。
セキュリティ面での問題が生じると、責任問題や企業の信頼性の低下に繋がるため、徹底したリスク管理が重要になります。
代表的な施策をいくつか紹介します。
- データの暗号化
- アクセス制御
- セキュリティパッチの適用
- XAI(AIの判断プロセスを人間に説明する技術)の導入
- 学習データの信頼性の確保
- ガイドラインの策定
- コンプライアンス体制の整備 など
最適なAIツールを選定
一言でAIツールといっても多岐にわたります。
同一の企業課題でも、適したAIツールが複数存在するでしょう。
その中で、各AIを比較して最適なツールを選ぶことが重要です。
具体的には、以下のような点に着目しましょう。
- 機能・性能
- コスト
- セキュリティ性能
- サポート体制
- 実績・レビュー など
まずは「何のためにAIを導入するか」を決定しましょう。
最新動向を踏まえて戦略を策定
現在は、AIの技術が急激に発展しています。
わずか数年前のツールでも、現在のAI技術の発展を鑑みると古いといえます。
AIを導入する際は、情報の最新性を踏まえて意思決定しましょう。
また、今現在最適と判断してAIツールを導入しても、数年後には非効率なツールとなっているなども大いに考えられます。
AIツールの導入後も最新の情報を収集し、AIの恩恵を最大限に受けられるようにしましょう。
従業員のAIリテラシーを向上させる
従業員のAIリテラシーを向上させる取り組みも重要です。
生成AIを例に挙げると、人間との対話によってAIはコンテンツを生成します。
つまり、AIを効率的に運用できるかは、操作側の技術にかかっています。
また、先述した通り、AI人材がいないとセキュリティ面の問題が生じるため要注意です。
従業員がAIスキルを習得できる環境整備を行いましょう。
AIの運用を外部に委託する選択肢もありますが、外注費が発生するので、長期的に考えると研修やマニュアル作成を行うことをおすすめします。
社内スタッフに研修を行うと、企業内でAI人材を確保でき、外注費用を抑えられます。
AI運用のマニュアルの作成は、属人化を防ぎ、人事異動やスタッフの退職時も円滑に業務を遂行できるでしょう。
従業員のAIリテラシー向上には、客観的に知識を証明できる資格取得も有効です。
生成AIに着目すると「生成AIパスポート」などが実施されています。
詳しくは「生成AIパスポートとは?難易度や試験日程、勉強方法、過去問テキスト等を紹介!」で解説しているので、ぜひご覧ください。
生成AIパスポートとは?難易度や試験日程、勉強方法、過去問テキスト等を紹介!マニュアルや利用規則を策定
AIツールの使用方法や作業手順を記したマニュアルや、目的や利用範囲、倫理ガイドラインなどを定めた利用規則を用意しましょう。
マニュアルや利用規則の策定は、以下のようなメリットがあります。
- AIの性能を最大限に発揮できる
- 担当者が変わっても同水準の作業が可能
- リスクを最小限に抑えられる
結果として、持続可能なデジタル化の推進に繋がるはずです。
定期的に効果測定を行う
AIツールの導入後も定期的に効果測定を実施しましょう。
定期的な効果測定が重要な理由をいくつか紹介します。
- 投資対効果を把握できる
- 改善点を把握できる
- リスクを早期発見できる
- 組織全体のITリテラシーが向上
効果測定の結果、同様に運用を続けるか、運用方法に改善を要するかを判断します。
改善が必要と判断したら、具体的な改善策を検討し、実行に移しましょう。
PDCAサイクルで管理できれば、常に最適なAI活用ができるはずです。
AIの導入・活用までの流れ
AIの導入から活用までの流れは大きく以下の通りです。
各工程を詳しく解説します。
1.企業の課題を分析
事業でAIを活用する際は、最初に企業の課題を分析します。
- 業務プロセス
- データ活用の現状
- 顧客対応
- 競合他社との差別化
- 意思決定の工程 など
課題が明確になったら、AI環境の構築に向けて目的や目標を設定しましょう。
目標は具体的な数字で表すと、AI導入の成果を客観的に判断しやすくなります。
2.AIの活用方針の決定
企業の課題が明確になったら、AIの活用方針を決定しましょう。
- 活用業務
- 活用範囲
- 業務プロセス など
AIの活用方針が曖昧だと、適切なツール選定や利用環境の構築ができなくなるため要注意です。
活用方針の決定時、投資対効果やAIが対応できる業務を考慮することが重要です。
3.利用環境の構築
AIの活用範囲を決めたら、利用環境を構築します。
主な検討項目は以下の通りです。
- 導入するAIツールの選定
- 要件定義・プロトタイプ開発
- AI人材の育成・雇用 など
既存ツールを選ぶケースが一般的ですが、自社開発を行うと特定のニーズに最適化でき、競争優位性も生まれます。
ただし、AI人材の不足やコスト面でのデメリットもあり、慎重に決断しましょう。
4.試験運用
使用環境を構築したら、試験運用を開始します。
AIツールの性能や効果についての情報を収集し、問題点の特定や解決策を策定します。
特に、以下の点は重点的にチェックしてください。
- セキュリティ診断
- 脆弱性スキャンの実施
- パフォーマンスの精度やユーザービリティの確認
試験運用を通じて従業員の育成やマニュアル作成も進めるとよいでしょう。
5.本運用
先述した通り、本運用を開始しても継続的な効果測定は必須です。
PDCAサイクルを通たAI活用の最適化により、更なる生産性の向上や顧客満足度の向上に繋がるでしょう。
まとめ
今回は、AIの導入・活用で利用できる補助金や採択率を向上させるコツ、AI導入のポイントや成功させるコツなどを解説しました。
ビジネスでのAIの活用により、生産性向上やコスト削減が叶いますが、導入時に一定の費用が必要となる点が課題です。
コスト面の課題解決方法として有力な選択肢は、補助金制度の活用です。
AI導入時に利用できる補助金制度は、国の公的機関や都道府県、市区町村など幅広い機関で実施されています。
補助金制度を有効活用すれば、経済的な負担を抑えてAIを導入できるはずです。
ただし、申請しても必ず資金調達に成功するわけではありません。
採択されるためにも、まずは企業の課題の明確化や公募要項の確認を通じて、綿密な事業計画を作成しましょう。
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