本記事では、Amazon CloudFrontについて以下の内容を解説しています。
- CloudFrontの概要
- CloudFrontの仕組み・構造
- CloudFrontの主要機能
- CloudFrontの料金
- CloudFrontの特徴・メリット
- CloudFrontと提携できるAWSサービス
- CloudFrontでコンテンツを配信する流れ
- CloudFrontのよくある質問
「Amazon CloudFront」の活用により、Webサイトの表示速度の向上やサーバーダウンのリスク低減などが可能です。
しかし、CDNサービスはCloudFront以外にも多岐にわたるので、本当に自分のサイトに合っているかを慎重に判断する必要があります。
本記事を参考にして特徴や費用を把握し、CDN選びの参考としてはいかがでしょうか。
目次
Amazon CloudFrontとは?
「CloudFront」とは、アマゾンウェブサービス(AWS)から提供されるCDN(コンテンツ配信ネットワーク)サービスです。
- AWS:Amazonが提供するクラウドサービスの総称
- CDN:大容量のコンテンツを効率よく配信できるネットワーク技術
CloudFrontの導入によって、高速なコンテンツ配信やセキュリティの向上などが見込めます。
実際に、動画ストリーミングサービスや静的Webサイトといった幅広いコンテンツに導入されています。
また、他社のAWSサービスと連携して利用できる点も魅力です。
同じ管理コンソールから操作できるので、Webサイト運営が効率化になるでしょう。
CDNとは?
「CDN(Content Delivery Network)」とは、大容量のコンテンツを効率よくユーザーに配信できる仕組みです。
日本では「コンテンツ配信ネットワーク」とも呼ばれています。
CDNは、コンテンツが格納されている「オリジンサーバー」のデータをコピーした「キャッシュサーバー」が、代わってコンテンツを配信します。
本来オリジンサーバーに集まるトラフィックが、世界中に配置されたキャッシュサーバーに分散されます。
そして、ユーザーに最も近いキャッシュサーバーからデータを配信するため、物理的距離が近くなることで表示速度の向上に繋がるのです。
さらに、Dos攻撃・DDoS攻撃の対策や、SEO対策としても役立ちます。
ただし、CDNの導入によってコンテンツの反映が遅れたり、アクセスログを取得できない可能性もあるので注意しましょう。
CDNについては「CDNとは?仕組みや意味を初心者向けにわかりやすく解説します!」で詳しく解説しています。
CDNとは?仕組みや意味を初心者向けにわかりやすく解説します!CloudFrontのユースケース
CloudFrontのユースケースをいくつかご紹介します。
- 静的Webサイトの運営
- 動画のストリーミング配信
- eコマースサイトの運営
- ソフトウェアの配布 など
大容量のコンテンツをユーザーに高速に届けられると、ユーザビリティが大きく向上します。
一方、読み込みが遅く、目的の情報を得るまでに時間がかかると、ユーザーのストレスに繋がり、途中離脱の原因となってしまうので要注意です。
CloudFrontの仕組み・構造
CloudFrontでは、以下の3つの構成要素が連携して、高速なコンテンツ配信を実現しています。
- オリジンサーバー
- エッジロケーション
- リージョナルエッジキャッシュ
各構成要素を詳しく解説します。
オリジンサーバー
「オリジンサーバー」とは、配信するコンテンツの元データを保存しているサーバーです。
初めてWebサイトを訪問した際やキャッシュが切れた際は、オリジンサーバーから最新データを取得します。
CloudFrontと同じAmazonのサービスの場合だと「Amazon S3」や「Amazon EC2」「ELB」などが使われることが多いです。
オリジンサーバーは「元データを保存するたった1つのサーバー」と考える方がいます。
しかし、災害時のリスクヘッジや負荷分散のために、複数のサーバーを用いることが一般的です。
エッジロケーション
CloudFrontの「エッジロケーション」とは、世界中に配置されたキャッシュサーバーが存在する地域です。
CloudFrontは世界600ヶ所以上にエッジロケーションが存在します。
エッジロケーションにあるキャッシュサーバーの役割は、オリジンサーバーから取得したコンテンツデータを一時的に保存することです。
このデータを「キャッシュ」といいます。
キャッシュサーバーは世界各地に存在しており、ユーザーは最寄りのサーバーからコンテンツを受信できます。
結果として応答時間の短縮と、オリジンサーバーの負荷低減が可能となるのです。
リージョナルエッジキャッシュ
CloudFrontの「リージョナルエッジキャッシュ」とは、上述したオリジンサーバーとエッジロケーションの間に配置されたキャッシュサーバーで、エッジロケーションよりも大容量のデータを保存できます。
エッジロケーション側ではアクセスの多い人気データだけを保存し、人気のないデータは削除されます。
そして、リクエストが発生した際にエッジロケーションにキャッシュが残っている場合は、そのままユーザーにコンテンツを提供します。
キャッシュがない場合は、オリジンサーバーからエッジロケーションにデータを取得・保存して、ユーザーにコンテンツが提供される仕組みです。
リージョナルエッジキャッシュにも残っていない場合にのみ、オリジンサーバーからデータを取得・保存して、ユーザーにコンテンツが提供されることとなります。
結果、オリジンサーバーへのアクセス頻度が減少する仕組みです。
リージョナルエッジキャッシュも世界中に複数設置されており、アクセスの多いコンテンツの表示速度の高速化やオリジンサーバーの負荷低減に貢献します。
CloudFrontの主要機能
CloudFrontには数多くの機能が搭載されています。
ここでは、主要な機能をいくつか紹介します。
キャッシュ機能 | エッジロケーションにデータをキャッシュして表示速度の向上やオリジンサーバーの負荷軽減を行う |
---|---|
圧縮機能 | データをgzipやBrotliで圧縮して配信速度を向上させる |
暗号化通信 | SSL証明書使ってデータを暗号化 |
アクセス制限 | 国ごとにアクセス拒否の設定が可能 |
パスベースルーティング | パスによってリクエストを振り分ける機能 |
オリジンフェイルオーバー | オリジンサーバーが利用できない際に、別のオリジンに切り替えてデータを配信する機能 |
代替ドメイン名 | デフォルト以外の独自のメイン名を利用できる |
CloudFrontの料金・費用
CloudFrontでは従量課金制が採用されており、地域によって料金が異なります。
日本を例とした代表的な料金形態は以下の通りです。
対象 | 料金(米ドル) |
---|---|
インターネットへのデータ転送 (GBあたり) |
10TBまで:0.114ドル 次の40TB:0.089ドル 次の100TB:0.086ドル 次の350TB:0.084ドル 次の524TB:0.08ドル 次の4PB:0.07ドル 5PB超:0.06ドル |
オリジンへのデータ転送 (GBあたり) |
0.060ドル |
HTTPメソッドのリクエスト (1万件あたり) |
HTTPリクエスト:0.009ドル HTTPSリクエスト:0.012ドル |
(2024年8月現在)
別途「無効リクエスト」や「リアルタイムログリクエスト」などで料金が生じる場合があります。
また、以下の内容は常時無料利用枠に含まれています。
- 1TB/月のインターネットへのデータ転送
- 1,000万件/月のHTTP/HTTPSリクエスト
- 200万件/月のCloudFront関数呼び出し
- 200万回/月のCloudFront KeyValueStoreの読み取り
- 無料SSL証明書
初期コストや維持費はかからないので、気軽にCDNを試してみたい人や、小規模なプロジェクトにもピッタリです。
詳しい料金形態については「料金 – Amazon CloudFront | AWS」のページをご覧ください。
CloudFrontの特徴・メリット5選
CloudFrontには、他のCDNと比較した特徴やメリットがあります。
- コンテンツを高速配信できる
- AWSサービスと提携できる
- 従量課金制の料金設定
- 高い安全性
- 高い可用性
ここでは5つの特徴・メリットを解説します。
コンテンツを高速配信できる
前述した通り、CloudFrontの導入により、コンテンツを高速配信できるようになります。
データを保存するオリジンサーバーではなく、世界中に配置されたエッジロケーションにあるキャッシュサーバーからコンテンツを配信するからです。
Webサイトや動画コンテンツ、大容量なソフトウェアなどを高速でユーザーに届けられたら、ユーザビリティが大きく向上します。
また、Webサイトの表示速度はSEOにも影響する要素です。
CloudFrontを使って表示速度を高速化できれば、閲覧数や収益性の向上に繋がるでしょう。
AWSサービスと提携できる
他のAWSサービスと提携できるのがCloudFrontの特徴です。
詳しくは後述しますが、CloudFrontと提携できるAWSサービスを紹介します。
- Amazon S3:データを保存できるクラウドストレージサービス
- AWS Certificate Manager:SSL/TLS証明書の取得や管理などができるサービス
- AWS WAF:ウェブアプリへの攻撃から保護するセキュリティサービス
- AWS Shield:DDoS攻撃から保護するセキュリティサービス
- Amazon Route 53:ドメイン名をIPアドレスに変換するサービス(DNSサービス)
CloudFrontならば、これらのサービスを同じ管理コンソールからアクセス・設定できます。
各種機能を一元管理できれば、Webサイト運営やコンテンツ配信の効率化に繋がるでしょう。
従量課金制の料金設定
従量課金制である点もCloudFrontの魅力です。
初期コストや維持費がかからず、使った分だけ料金に反映されるので、コストに対する納得度を感じられるでしょう。
また、常時利用無料枠も用意されており、上手く活用すれば費用を抑えてWebサイトのパフォーマンスを大幅に上げられます。
ただし、コンテンツの配信量が増えると、定額制よりも負担増となってしまうため要注意です。
高い安全性
高い安全性を有しているのもCloudFrontの特徴です。
CloudFrontでは、以下のようなセキュリティ機能を利用できます。
- SSL/TLS暗号化:データを暗号化して盗聴や改ざんを防ぐ
- AWS WAF:ウェブアプリへの攻撃から保護
- AWS Shield:DDoS攻撃から保護
- アクセス制限:特定コンテンツへのアクセス・特定地域からのアクセス制限
Webサイトやプラットフォームの安全性が向上し、トラブルにも備えられます。
ユーザーも安心してサイトを利用できるでしょう。
高い可用性
CloudFrontは高い可用性があります。
以下のような機能や特徴を活かして、高可用性を実現しています。
- プライマルオリジンの不能時にセカンダリオリジンに切り替える「オリジンフェイルオーバー」
- 高いスケーラビリティ
- オリジンサーバーとエッジロケーションの間にある「リージョナルエッジキャッシュ」
- トラフィックの変動に応じてリソースを調整する「自動スケーリング」 など
可用性が高ければ費用対効果が上がり、ユーザビリティが向上して機会損失を防止できます。
結果としてコスト削減やアクセス数・利用者数の増加、収益性の向上に繋がるでしょう。
CloudFrontと提携できる主なAWSサービス
CloudFrontの魅力の1つが、各種AWSサービスと提携できる点です。
ここでは、CloudFrontと提携できる主なAWSサービスを紹介します。
- Amazon S3/EC2/ELB
- AWS WAF
- AWS Certificate Manager (ACM)
- AWS Shield
- Amazon Route 53
Amazon S3/EC2/ELB
「Amazon S3」「Amazon EC2」「ELB(Elastic Load Balancing)」は、いずれもCloudFrontのオリジンに設定できるサービスです。
- Amazon S3:主に静的コンテンツで使用されるオブジェクトストレージ
- Amazon EC2:アプリやサービスを実行するための仮想サーバー
- ELB(Elastic Load Balancing):トラフィックをEC2に分散させるロードバランサー
CloudFrontのオリジンサーバーには、これらのいずれかが選択されるケースが多いです。
AWS WAF
「AWS WAF」とは、ウェブアプリへの攻撃を防ぐセキュリティサービスです。
以下のような機能が備わっています。
- リクエストを分析して悪意のあるトラフィックをブロック
- 特定のIPアドレスやHTTPヘッダーなどに基づいたカスタムルールの作成
- トラフィックのパターンをリアルタイムで分析して、異常なアクティビティを検出
情報漏洩やデータの改ざん、削除、DDoS攻撃などの大規模な攻撃を防止できます。
さらにルールをカスタマイズできるので、ユーザーやビジネスに合わせたセキュリティ対策が行えます。
AWS Certificate Manager (ACM)
「AWS Certificate Manager (ACM)」とは、SSL/TLS証明書の発行や管理、更新などができるサービスです。
Webサイトとユーザー間の通信データを暗号化して、Webサイトが安全にデータを送受信していることを証明できます。
ACMの活用によって、証明書の発行や管理、更新で必要なコストや手間を削減できます。
AWS Shield
「AWS Shield」とは、DDoS攻撃からアプリケーションを保護するサービスです。
AWS Shieldの活用によって、遅延やサーバーダウンのリスクを防止できます。
可用性が向上するので、ユーザビリティが上がり、利用者数やアクセス数の増加に貢献するしょう。
Amazon Route 53
「Amazon Route 53」とは、ドメイン名をIPアドレスに変換するDNSサービスです。
これにより、人が認識しやすいドメイン名をコンピューターが理解できるIPアドレスに変換できます。
Amazon Route 53は、ドメイン名の取得からDNS管理まで一元的に対応し、さらにヘルスチェック機能も搭載されています。
CloudFrontでコンテンツを配信する流れ
ここでは、CloudFrontを用いたコンテンツ配信の流れを紹介します。
- オリジンサーバーの用意
- コンテンツのアップロード
- ディストリビューションの作成・設定
- DNSの設定
- コンテンツの配信
1. オリジンサーバーの用意
最初にオリジンサーバーを用意します。
オリジンサーバーは、AWSの「Amazon S3」「Amazon EC2」「ELB(Elastic Load Balancing)」が用いられるケースが多いです。
Amazon S3を例に挙げると、以下の流れでバケット(データを保存するフォルダ)を作成できます。
- AWS マネジメントコンソールを開く
- 検索バーに「S3」と入力
- S3ダッシュボードからバケットを作成
- バケット名とリージョンの設定
ここで作成したバケットを、CloudFrontオリジンとして利用します。
2. コンテンツのアップロード
S3コンソールで作成したバケットを選択して、ファイルをアップロードします。
HTTP経由で提供できるデータなら、Webページや画像、動画など、さまざまなコンテンツをアップロード可能です。
バケット内のコンテンツを「読み取り可能にして公開」にすると、コンテンツのCloudFrontのURLを知っているユーザー全員がアクセスできるようになります。
3. ディストリビューションの作成・設定
以下の流れでディストリビューションを作成します。
- Amazon CloudFrontのコンソールへアクセス
- 「ディストリビューションの作成」をクリック
- WebまたはRTMPを選択(基本はWeb)
- オリジンドメイン名を指定
- キャッシュ動作の設定やカスタムドメイン・価格クラスの選択など
- ディストリビューションの作成をクリック
ディストリビューションのステータスが「Deployed」に変わっていれば作成完了です。
4. DNSの設定
ディストリビューションの設定を終えたら、CloudFrontから提供されるドメイン名を用いて、CNAMEレコードを設定しましょう。
- DNSゾーンファイルへのアクセス
- CNAMEレコードの追加
CNAMEレコードを追加したら、DNSの反映を待ちます。
通常、数分から数時間で完了します。
5.コンテンツの配信
DNSの設定が完了したら、ディストリビューションがサイトと連携して動作します。
CloudFrontのドメイン名を通じてコンテンツにアクセスできるようになります。
パフォーマンスが向上したかを確認しましょう。
Amazon CloudFrontのよくある質問
ここでは、CloudFrontのよくある質問に回答します。
- CloudFrontのエッジロケーションはどこにある?
- CloudFrontとS3の違いは?
- 料金を抑えて使えるCDNはある?
CloudFrontのエッジロケーションはどこにある?
CloudFrontのエッジロケーションは、世界中のあらゆる地域に配置されています。
日本のCloudFrontエッジロケーションは、東京と大阪の2ヶ所です。
CloudFrontのエッジロケーションについては、公式サイト「Amazon CloudFront の主な特徴」で確認できます。
CloudFrontとS3の違いは?
CloudFrontとAmazon S3は共にAWSのサービスですが、機能が大きく異なります。
Amazon S3:クラウド上でデータを保存するサービス(オブジェクトストレージ)
一般的には、Amazon S3にデータを保存し、CloudFrontを使って効率よくユーザーに届ける使い方をします。
料金を抑えて使えるCDNはある?
各CDNサービスで容量やプランが異なります。
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今回は「Amazon CloudFront」の特徴や仕組み、コンテンツ配信の流れなどを解説しました。
CDNであるCloudFrontの活用によって、コンテンツの高速配信やオリジンサーバーの負担低減、セキュリティの強化などが実現します。
特にCloudFrontは、AWSサービスと提携できたり、従量課金制などが魅力です。
ただ、CDNはCloudFront以外にも数多く存在します。
目的や性能に合わせて適切なCDNを選べば、サイトのパフォーマンス向上やコスト削減が可能です。
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